3.感冒とインフルエンザにおけるサプリメント療法

アストラガルス

アストラガルスの写真があります Astragalus membranaceusは中国に自生するマメ科の植物で、根は心臓病、肝臓病、腎臓病、癌、ウィルス感染、および免疫障害をはじめとする多数の病気の治療に他の薬草と混合して漢方薬として使用されている。ヒトに使用される種はAstragalus gummifera、Astragalus mollissimus、Astragalus lentiginosisである。和名は黄耆。

作用メカニズム

1)
抗酸化物質としてフリーラジカル産生を抑制、スーパーオキシドジスムターゼを増加、過酸化脂質を低下させる。
2)
免疫促進作用があり、インターフェロンの作用強化、単核球の反応を改善、リンパ球(T細胞ではなくB細胞)の産生を刺激、免疫グロブリンとTNFの産物を刺激、癌患者の抑制されたT細胞機能を修復、骨髄幹細胞と前駆細胞の増殖・分化を促進する。
抗ウイルス活性が実験的研究と動物研究で報告されているが、ヒトでの報告は限られている。
3)
いくつかのin vitroおよびin vivo研究で抗細菌活性あり。

摂取方法

アストラガルスは1回分の摂取量に4‐ヒドロキシ‐3‐メトキシ‐イソフラボン‐7‐グリコシドが最低0.4%含まれるよう規格化するよう推奨されている。アストラガルスはハーブ混合物に加えられることが多く、その量が特に指定されていないことから、規格化は必ずしも一定とは限らない。

成人:
エキス剤: 抽出物250~500mgを1日4回摂取
乾燥ハーブ根: 1日1~30g
カプセル剤: 500~1000mgを1日3回摂取

感冒には:
1日4~7g(28g未満は免疫促進作用を及ぼすが28gを超えると何ら効果がなく免疫抑制作用さえ得られないとされる)。

副作用

  • マメ科アレルギー: マメ(エンドウ)科の仲間にアレルギーを示す患者はアストラガルスに反応することがある。
  • 概ね毒性は「極めて低い」と報告され、主なものは軽度の胃の不調とアレルギー反応である(通常、他のハーブと混合されるため評価は難しい)。

使用上の注意

  • 一部の種は家畜で中毒、すなわち「マリファナ」中毒を引き起こしたことがある。問題の種はスワンソニンを含み、ヒトでは使用されていない(Astragalus bisulcaltus, Astragalus nothrosys, Astragalus pubentissimus, Astragalus thuseri, Astragalus wootoni)。
  • 血糖値を低下させる可能性がある。
  • 出血リスクを増加させる可能性がある。
  • 血圧を低下させる可能性がある。
  • 利尿効果を及ぼす可能性がある。
  • 成長ホルモンの濃度を増加させる可能性がある。
  • 妊娠・授乳: 安全な使用を推奨する科学的エビデンスはない。

相互作用

  • C 血糖降下薬: 相加効果
  • C 降圧薬: 相加効果
  • C 抗凝固薬: 相加効果
  • C 利尿薬: 相加効果
  • B 免疫機構に影響を及ぼす薬剤: アストラガルスは免疫機構を促進すると考えられている。

臨床エビデンス

  • 研究は主に中国で行われ、デザイン不良あるいは報告内容が十分ではない。
  • 予備的な動物研究や実験的研究の大半で最終的なヒト臨床試験が行われていない。
  • 感冒やインフルエンザに限定して検討されていない。

Yoshida Yら 1997

Astragalus Membranaceusは正常な脾臓細胞がB細胞(T細胞ではない)であるレスポンダー細胞とともに増殖するのを刺激したことを証明した。研究の結果、このハーブがポリクローナルIg(免疫グロブリン)の産生を刺激し、マクロファージによるTNFとIL‐6の産生を刺激したことが分かった。

Shao BM stら 2004

アストラガルスが主成分として多糖類とともにマクロファージとB細胞を活性化できたことを確認した。

Weng XS 1995

白血病患者113例に対し、純粋なアストラガルス製剤を2種類の濃度にしてランダムに治療を行った。Ⅰ群には10ml(アストラガルス15gに相当)を1日2回、Ⅱ群には10ml(アストラガルス5gに相当)を1日2回与えた。8週後の結果からⅠ群の有効性は83%、Ⅱ群はわずか47%であることが分かった。両群とも治療後に白血球数が明らかに上昇し(P<0.001)、結果は用量依存的であった。

全体的結論

感冒の治療・予防におけるAstragalus membranceusの有効性を示したヒト臨床試験はないが、いくつかの動物研究でこのハーブが免疫機構を促進し、感冒予防に役立つ可能性があることが示されている。心臓病や糖尿病、自己免疫疾患を有する人や移植患者、抗凝固薬/抗血小板療法や他のハーブ療法を受けている人は使用前に医師の診察を受けなくてはならない。